MEDIA「Shopify制作カオスマップ【2026年版】」の Shopify Plus対応・大規模Enterprise カテゴリに掲載されました詳しく見る →
Shopify Development Guide

Shopify構築ガイド|3つの進め方・期間・費用の考え方【支援実績250件超の視点】

Shopify構築は「自分でやる・フリーランスに頼む・制作会社に頼む」の3つで費用も期間も変わります。期間の目安、費用の考え方、つまずきやすい場所まで、250件を超える支援に携わったShopify専門の開発パートナーが整理します。

Shopify構築ガイド|3つの進め方・期間・費用の考え方【支援実績250件超の視点】

Shopify構築の3つの進め方

Shopifyの構築は「自分で構築する」「フリーランスに依頼する」「制作会社に依頼する」の3つに分かれ、どれを選ぶかで費用も期間も、公開後に残る運用の形も変わります。先に決めるべきは依頼先ではなく、どこまでを自分たちでやるかです。

Shopifyはノーコードでもストアを公開できるプラットフォームなので、「作れるかどうか」で選ぶと3つとも「作れます」という答えになってしまいます。判断を分けるのは、外部システムとの連携があるか/既存のデータを引き継ぐ必要があるか/公開後に誰が触るかの3点です。

Shopify構築の進め方を選ぶ分岐フローチャート。外部システム連携の有無、既存データ移行の有無、公開後の運用体制の3つの問いで、自分で構築・フリーランスに依頼・制作会社に依頼のいずれかに分かれる
進め方 初期費用の考え方 期間の目安 向いているケース 注意点
自分で構築する 構築の外注費はかからず、Shopifyのプラン料金とテーマ・アプリの費用だけがかかります 商品点数と準備の進み方に左右されます 単店舗・標準機能の範囲・商品点数が数十点まで・社内に手を動かせる担当者がいる 撮影や原稿づくりの工数は減りません。公開後の不具合対応も自分たちで抱えます
フリーランスに依頼する 制作会社より低い水準になりやすい傾向があります 個人の稼働状況に左右されます デザインの作り込みが主目的・要件が固まっている・社内に発注を仕切れる人がいる 公開後の保守が個人の稼働に依存します。連絡が取れなくなったときの引き継ぎ先をあらかじめ決めておく必要があります
制作会社に依頼する 要件定義・設計・実装・検証まで含むため、上の2つより高くなります 種別により2ヶ月前後〜6ヶ月程度(後述) 基幹・物流・POS等との連携がある・既存カートからの移行がある・公開後も継続して手を入れる 「何をいくらで作るか」が曖昧なまま契約すると、後から要件の追加として費用が動きます

金額の相場については、公開されている情報でも幅がかなり大きく、同じ「Shopify構築100万円」でも要件定義とデータ移行が含まれているかどうかで中身がまったく違います。費用の見方は「構築費用の入口」で分解します。

制作会社に依頼しなくていいケース

私たちは制作会社ではなくShopify専門の開発パートナーですが、それでも依頼が要らない場面ははっきりあります。次のすべてに当てはまるなら、まず自分たちで立ち上げて、必要が出てから相談するほうが早く、費用も抑えられます。

  • 販売するのは自社商品のみで、商品点数がおおむね数十点までにおさまる
  • 基幹システム・物流倉庫・POS・会計ソフトとの連携が当面必要ない
  • 既存のECサイトからの顧客データ・注文データの引き継ぎがない(新規の立ち上げである)
  • 既製テーマのデザインの範囲で問題なく、独自の購入フローを作る必要がない
  • 商品登録・撮影・原稿づくりを進められる担当者が社内にいる

このうちひとつでも外れると、外れた項目そのものが依頼の中身になります。逆に言えば、「なんとなく不安だから」という理由で全体を依頼するのは、いちばん費用対効果の悪い頼み方です。

Shopify自体をこれから触ってみたい方や、個人・小規模で自分の手で立ち上げたい方には、当社が運営するShopifyの使い方ブログで、管理画面の操作を単位ごとに解説しています。この記事は、そこから一歩進んで「どこまでを外に出すか」を決める段階の方に向けて書いています。

自分で構築する場合 — 手順の詳細と、依頼を検討するライン

自分で構築する場合の具体的な手順は、当社が運営する「ひとりで始めるShopify運営」に、この記事より詳しくまとめてあります。アカウントの作成から、テーマの設定、商品登録、決済・配送・税の設定、法定表記、独自ドメインの接続と公開まで、画面を追いながら進められる形です。

この記事では手順を繰り返さず、自分で進めてみて、どこから先を外に出すかの判断を扱います。費用の全体像は「構築費用の入口」で分解します。

どこからが依頼ラインか

自分で構築を進めていて、次のいずれかに突き当たったら、そこが依頼を検討する線です。ただし、途中まで進めたストアの続きや、突き当たった一点だけの切り出しを請け負えるかどうかは、相談先によって異なります。構築の途中からだと現状の把握から始めることになるため、要件定義からの案件しか受けない会社も珍しくありません。相談するときは、ストアの現状(URL・使っているテーマ・入っているアプリ・どこまで進めたか)と突き当たっている点を先に伝えて、どの範囲なら受けられるかから確認してください。

  • 既存のECサイトから顧客・注文・商品データを引き継ぎたい(データ移行の設計と、旧URLから新URLへ転送する設定=301リダイレクトが必要になります)
  • 基幹システム・物流倉庫・POS・会計ソフトなど、外部のシステムとデータを行き来させたい(分析基盤やメール配信など連携先はさまざまですが、いずれも連携の方式と、どちらのデータを正とするかの設計が必要になります)
  • 標準のテーマ設定では作れない購入フロー・表示条件がある(テーマのコードに手を入れる実装が必要になります)
  • 法人取引(B2B)の卸価格や掛け払いを扱いたい
  • テーマの設定を見直しても直せない不具合・表示崩れに突き当たった(原因の切り分けから相談できます)

制作会社・フリーランスへの依頼の進め方

依頼先の技量による失敗ももちろんありますが、発注側が自分で防げる失敗の多くは「何をいくらで作るのかが決まらないまま契約に進むこと」から起きます。技量は契約してみないと分からない部分が残る一方、こちらは進め方だけで潰せるからです。順番は、要件整理 → 見積 → 契約の3段階で、いちばん手を抜いてはいけないのが最初の要件整理です。

1. 要件を整理する(発注側で先に書けること)

見積を取る前に、次の項目を箇条書きでいいので文章にしておくと、複数社の見積が比較できる形で返ってきます。

  • 何を売るサイトか(商品カテゴリ・点数・単価帯・想定する購入者)
  • 既存サイトの有無(あるなら、そのURL・カート/システム名・引き継ぎたいデータの種類)
  • 連携したい外部システム(基幹・物流・POS・会計・メール配信などの販促ツール。システム名まで)
  • 必須の機能と、あったら嬉しい機能の区別(ここを分けないと見積が膨らみます)
  • 公開したい時期と、その理由(展示会・シーズン・既存契約の満了など)
  • 公開後に社内で更新したい範囲(商品登録は自社/ページ制作は依頼、など)

2. 見積を比較できる形にする

同じ要件を出しても、見積の作り方は会社によってかなり違います。金額の総額だけを並べても比較にならないので、次の3点が書かれているかを見てください。

  • 要件定義が工程として立っているか。当社では、規模の大きい案件で要件定義そのものを独立したフェーズとして見積り、その成果物として構築フェーズの確定見積書を出す進め方を取ることがあります。「構築一式」でまとめて金額が出ている見積は、着手後に要件が動いたときの扱いが不明瞭になりがちです
  • データ移行とリダイレクトが含まれているか。移行案件でここが抜けている見積は、後から必ず追加になります
  • 公開後の対応がどうなっているか。保守契約の有無・月額・対応範囲・対応時間が書かれているかを見ます

3. 契約の前に確認すること

  • ストアを誰の名義で開設し、所有権がいつ事業者側に来るか(依頼先が自社の管理下で構築して公開時に引き渡す形と、最初から事業者名義のストアで進める形があります。どちらかで構築中のプラン料金の負担も変わります——詳しくは「構築費用の入口」で説明します)
  • テーマのソースコードを引き渡してもらえるか(将来ほかの会社に頼むときに効きます)
  • 保守の月額に、何が含まれるか(同じ「保守契約」でも中身は会社ごとに違います。たとえばバナーを差し替えたいとき、やり方を教えてもらえるのか、作業そのものをやってもらえるのかは別の話です。当社の保守サポートは前者で、やり方のご案内までが月額の範囲、作業の代行は別途のお見積りです。どちらの形かを契約前に確認してください)
  • 時間外・休日の対応がどうなるか(当社は時間外の対応を原則として行っていません。ただしストアの停止や決済ができないなど、運営に支障が出る重大な障害に限り、緊急のご連絡先をご契約後にあらかじめお伝えしています。これは万一に備えた窓口であって、時間外の復旧を約束するものではありません——原因がアプリやShopify側にある場合など、当社では手を出せない範囲もあります。確認するポイントは、時間外に何が起きたらどこへ連絡できるのか、それは約束なのか目安なのかの2つです)

依頼先そのものの選び方——実績のどこを見るか、Shopifyが公式に設けているパートナーの認定制度をどう読むか、相見積もりを何社まで取るか——は、当社サイトで別途くわしく扱う予定です。この記事の範囲では、「見積の中身を比較できる形にすること」が依頼先選びの半分を占めるとだけお伝えしておきます。

構築期間の目安

Shopifyの構築期間は「新規で作るのか、既存カートから移行するのか」で大きく変わり、当社の実務では新規構築が2〜3ヶ月、既存サイトのリニューアルが2ヶ月前後、他カートからの移行が4〜6ヶ月です。「Shopifyは早い」と言われますが、早いのはサイトの形ができるまでです。アカウントを作ってテーマを選べば、ストア自体はその日のうちに表示できます。時間がかかるのはそこからで、商品と原稿を入れ、決済・配送・税・法定表記を整え、既存データの移行や外部システムとの連携を済ませて、売り始められる状態にする——この後半の長さが要件で決まります。

種別 期間の目安 期間を押し上げる要因
既存サイトのリニューアル(すでにShopifyで運用中) 2ヶ月前後 既製テーマの調整で済むか、デザインを一から起こすかで変わります。一から起こす場合は、色・文字・部品のルールを決めて全画面に展開する工程が加わります
EC新規構築(移行ではないもの) 2〜3ヶ月 複雑な外部連携がない場合の目安です。商品点数が多いと、他の工程が終わっていても商品登録が終わるまで公開できないため、登録作業の進みが全体の期間を決めます
ECリプレイス(他カート・他システムからShopifyへ) 着手から4〜6ヶ月 データ移行の設計、旧URLのリダイレクト、既存の運用フローの読み替えが加わります
基幹システムとの双方向連携を含む大規模なリプレイス 要件定義を含めて1年規模になる案件もあります 連携先の仕様調整に他社が入るため、当社の作業速度では決まりません
Shopify構築期間の目安を示す帯グラフ。リニューアルは2ヶ月前後、EC新規構築は2〜3ヶ月、他カートからのECリプレイスは4〜6ヶ月。基幹システム連携を含む大規模案件は要件定義を含め1年規模

出典: 当社が実施した構築・リニューアル案件の実績にもとづく目安です(2026年8月時点。案件の一部は公開事例の一覧でご覧いただけます)。正式な期間は要件確定後の見積でご提示します。

実際の例として、公開事例のひとつであるセレクトショップの新規構築では、基幹システム会社・物流会社・システム開発会社との複数社連携という条件で、2022年7月にご相談をいただき、同年10月にストアを公開しました(事例詳細)。複数社の仕様をすり合わせる案件でも、要件が早い段階で固まれば3ヶ月で公開まで到達できます。逆に言えば、期間を縮める効き目がいちばん大きいのは発注側で要件を先に言語化しておくことです。たとえば次のようなものが、相談の時点で言葉になっていると効きます。

  • 商品写真と原稿が、いま何点そろっていて何点足りないか(足りないぶんの撮影・執筆は構築と並行で進められます。着手後に発覚すると、そのぶんそのまま後ろへずれます)
  • 既存サイトから移すデータと、移さないデータ(顧客・注文・ポイントをどこまで持っていくか。「全部」と「商品だけ」では工程がひとつ変わります)
  • 連携したいシステムの名前と、その仕様を答えられる担当者(社内かベンダーか。仕様の回答待ちは、構築側では縮められない時間です)
  • 公開したい日と、その理由(セール・展示会・既存契約の満了など動かせない日があるなら、そこから逆算して間に合う範囲を最初に決められます)

何を書き出せばよいかの全体は、ひとつ前の「制作会社・フリーランスへの依頼の進め方」の要件整理の項にまとめています。

構築費用の入口

Shopify構築の費用は「Shopifyに払うもの」「開発パートナーに払うもの」「アプリ・テーマの提供元に払うもの」の3つに分かれ、支払先が違うので、ひとつの総額にまとめると判断を誤ります。

Shopify構築費用の支払先3層を示す図。Shopifyにはプラン料金と決済手数料、開発パートナーには構築費と保守、アプリ・テーマの提供元にはテーマ購入費とアプリ利用料を支払う
支払先 何に対する費用か 課金の形
Shopify プラットフォームの利用料(後述のプラン料金)と、Shopifyペイメント利用時のカード手数料/外部決済利用時の追加手数料 月額(ストア単位)+売上に対する従量
開発パートナー・フリーランス 要件定義、デザイン、実装、データ移行、公開前検証、公開後の保守 構築は都度のお見積り(プロジェクト単位)/保守は月額
アプリ・テーマの提供元 有料テーマの購入費、機能を補うアプリの利用料 テーマは買い切りが多く、アプリは月額(一部は従量)

Shopifyのプラン料金と決済手数料

プラン選びで見るべきは、月額そのものよりも、売上に連動する決済手数料です。月額は数千円から数万円の固定費ですが、決済手数料は売上に比例して増え、上位プランほど料率が下がります。つまりプラン料金は、構築の費用としては小さく、売上が立ってから効いてくる費用です。2026年8月時点の公式の日本向け価格は次のとおりです。年払いか月払いかで金額が変わります。

プラン 月額(年払い) 月額(月払い) Shopifyペイメント利用時のカード手数料(オンライン標準) 外部決済サービス利用時の追加手数料
ベーシック 3,650円 4,850円 3.55% 2.0%
グロー 10,100円 13,500円 3.55% 1.0%
アドバンス 44,000円 58,500円 3.25% 0.6%
Shopify Plus 368,000円から 個別の条件による優遇料率 0.2%

出典: Shopify公式料金ページ(2026年8月時点)。表示は税別です。無料トライアルは3日間で、その後3か月間は月額150円で利用できる条件が案内されています(条件は変更されることがあるため、申し込み時に公式ページでご確認ください)。

外部決済サービス利用時の追加手数料は、決済代行会社に払う手数料とは別に、Shopifyに払うものです。GMOペイメントゲートウェイやSBペイメントサービスなど国内の決済代行を使う場合、この追加手数料が上位プランほど下がるため、月商が上がるほどプラン変更の損得が効いてきます。

制作会社・フリーランスに頼むと、構築中のプラン料金はどうなるか

依頼先がShopifyパートナーとして運営している場合、構築作業はパートナー側で開設したストアで進め、公開のタイミングで事業者側へ所有権を移す形がとれます。Shopifyパートナー向けの公式ヘルプでは、パートナーが管理できるストアが3種類に整理されています。アプリやテーマのテスト用の「開発ストア」、事業者がすでに所有しているストアに参加する「コラボレーション」、そしてクライアントへ引き渡す前提で構築するストア(公式ヘルプの表記では「クライアントが移行されたストア」、英語版では Client transfer stores)です。引き渡す前提のストアについては、料金は移行後にクライアントが負担すると明記されています。

この形であれば、依頼して構築している数ヶ月のあいだ、事業者側でプラン料金を払い続ける必要は基本的にありません。一方で、すべての依頼先がShopifyパートナーとして運営しているわけではありません。事業者側で開設したストアに依頼先を招いて構築を進める形もあり、その場合、期間中のプラン料金は事業者側の負担です。どちらの形で進めるのか、構築中のプラン料金を誰が負担するのかを、契約前に確認してください。

注意依頼の形にかかわらず、導入を検討しているアプリのなかには、ストアのプランを有効化していないとインストールや動作確認ができないものがあります。この場合、そのアプリで要件を満たせるかを確かめるために、構築の途中からプランを立ち上げることになり、そのぶんのプラン料金が発生します。見積書にストア利用料が計上されていたら、こうした検証のための費用なのか、何に対する費用なのかを確認してください。

出典: Shopifyヘルプセンター「パートナーダッシュボードでストアを管理する」(日本語版・2026年8月確認)。なお、開発ストアはアプリやテーマの構築・テスト用で、そのままクライアントへ移行することはできません。

構築費が動く4つの変数

構築費の見積が上下する要因は、実務ではほぼ次の4つに集約されます。相場表を見るより、この4つで自社の案件がどこに位置するかを掴むほうが実用的です。

  1. データ移行の有無と範囲(商品だけか、顧客・注文・ポイント・定期購入まで含むか)
  2. 外部システム連携の有無(Shopify単体で構成できるか、基幹・物流・会計との連携開発が入るか。当社の実績でも、金額が大きく動いた案件はすべてここに該当します)
  3. デザインをどこから起こすか(既製テーマの配色やロゴを調整する範囲で済むか、色・文字・ボタンなどのルールを一から設計して全画面に展開するか)
  4. 独自の購入フロー・表示ロジックの量(標準機能の組み合わせで足りるか、実装が必要か)

このうち2が入ると、費用は連続的ではなく段階的に上がります。「少しだけ連携したい」という要件は実務上ほとんど存在せず、連携するなら仕様調整・テスト・障害時の切り分けまで含めて設計する必要があるためです。

注意アプリの月額は積み上がります。1本あたり月10〜50ドル程度のアプリでも、5本入れれば月額プランを上回ることがあります。構築時に「アプリで対応します」と言われた項目は、そのアプリの月額と、それが今後もずっとかかることを見積の別欄で確認してください。

上位プランを含む費用構造をさらに細かく分解したものは、Shopify Plusの料金・費用まとめにまとめています。プラットフォーム料金が売上に連動して切り替わる仕組みまで扱っているので、規模が大きくなる見込みがある場合はあわせてご覧ください。

構築でつまずく3つの場面

構築が予定どおりに進まないとき、原因は技術ではなく段取りにあります。ここでは、当社が250件を超える支援のなかで繰り返し見てきて、工程の規格として明文化するに至ったつまずきを、「作り始める前」「データを移すとき」「公開したあと」の3つの場面で挙げます。どれも、発注側が事前に手を打てるものです。

1. 画面を作り始める前に、決めることを飛ばす

最も高くつく戻りは、決めるべきことが決まらないままデザインに進んだときに起きます。飛ばされやすいものは3つあり、いずれも当社ではデザイン確定より前の通過条件にしています。

① 情報設計。サイトマップと画面の一覧が確定しないまま全画面のデザインを進めると、あとから1画面の構造が変わっただけで描き直しが全画面に波及します。だから当社は、画面一覧が発注側に承認されてから全画面の作り込みに入る順番を標準にしています(デザインの方向性を早く見たい場合は、参考事例のすり合わせを先に行えばよく、この順番のままで応えられます)。注意したいのは、見積からこの工程が省かれている場合です。金額は安く見えますが、決まっていないものは誰かが決めることになり、あとから情報設計のやり直しという形で費用と時間が戻ってきます。

② 実データでの検証。ダミーテキストで作ったデザインは、実データを入れた瞬間に崩れます。商品名が想定の3倍長い、説明文が1行しかない、画像の縦横比がバラバラ——といったことは、実データを流すまで見えません。対策は、最初の1画面から実データを入れ、最長ケースと最短ケースの両方で崩れないことを確認することです。生成AIの普及で「埋めるために作られた内容が実物と見分けがつかない」問題も増えており、当社では実データが来ていない要素にすべて「(仮)」を付け、公開前に残存ゼロを確認しています。

③ 素材の上限。今ある写真と原稿で到達できる品質には上限があり、それは構築を始める前に分かります。商品写真が白背景の物撮りしかないのに、参考に挙がっているのはライフスタイル写真を大きく使うブランドサイト、というずれは非常によく起きます。撮影が必要なら、それは構築費とは別の予算とスケジュールです。

発注側の打ち手デザインに入る前に、次の3つを確認してください。①見積の工程表に「情報設計」の行があるか(無ければ、誰かが暗黙にやっているか、誰もやっていないかのどちらかです)。②デザイン案の文言と数字は実物か、仮か(仮のまま公開に流れると、実在の関係者の発言だと誤解される事故になります)。③参考サイトの「何を採るのか」を要素で言語化したか(「全体の雰囲気」では合意になりません。写真の使い方か、余白か、情報の並べ方かで、必要な素材が変わります)。

2. データ移行と旧URLのリダイレクトを最後に回す

移行案件のデータまわりには、要件定義の段階で決めておかないと後半で詰むものがあります。商品データの移行は比較的機械的に進みますが、次の3つは先送りにするとそのまま公開日に響きます。

  • どのデータを移すか、移さないか(顧客・注文・ポイント・レビュー・ブログ記事。移さないと決めるのも立派な判断で、基幹システム側で保全されているなら移行対象から外せます)
  • 旧URLから新URLへのリダイレクト方針(301リダイレクトの一覧を作る作業は、ページ数に比例して工数がかかります。ここを飛ばすと、公開直後に検索流入が落ちます)
  • 定期購入(サブスクリプション)を運用している場合の、保存済みカード情報の扱い

3つめは特に見落とされます。一般的な記事の多くは「カード情報はPCI DSS(カード情報を扱うための国際的なセキュリティ基準)の制約で移行できない」と書いていますが、Shopifyには保存済みの決済方法を移行する公式の有償サービスがあります(Shopifyヘルプセンターの「Shopifyアカウントへの決済方法の移行」で「Shopify Professional Servicesの決済方法移行サービス」と表記されています)。ただし条件があり、移行元の決済サービスがStripe・Braintree・PayPal Express・Authorize.netの場合に限られ、カード番号そのものの移行にはShopify PlusまたはEnterpriseが必要とされています。

日本のECでは国内の決済代行会社を使っているケースが多く、その場合は対象外になります。見積を組む前に現行の決済代行会社を確認することが、ここでの最初の足切りです。対象外なら「購入者にカード再登録を案内する」前提でスケジュールと販促を組み直すことになり、これは公開日そのものを動かす話になります。

出典: Shopifyヘルプセンター「Shopifyアカウントへの決済方法の移行」(日本語版・2026年8月確認)。適用条件・費用は案件ごとに異なるため、正式にはShopifyへの確認が必要です。

発注側の打ち手現行サイトの「カート/システム名」「決済代行会社名」、そして定期購入の販売がある場合は「定期購入を動かしている仕組みの名前」(外部サービス名・プラグイン名など。請求書やカートの管理画面で確認できます)の3つを、最初に問い合わせるときの文面に書き添えてください。この3点が揃っているかどうかで、返ってくる見積の精度が変わります。

3. 公開後に誰がどこを触るかが決まっていない

公開日をゴールに設計すると、公開翌日から止まります。商品を追加するのは誰か、バナーを差し替えるのは誰か、テーマのコードを触ってよいのは誰か——これが決まっていないと、「触ってはいけない場所を社内の誰かが触って壊れる」か、「怖くて誰も触れずサイトが更新されなくなる」かのどちらかになります。

当社は工程の最後に「公開後に守る」というフェーズを置き、顧客側で更新してよい範囲と、触ってはいけない箇所を明記した運用手順を残すことを通過条件にしています。

発注側の打ち手契約前に「公開後の運用手順書は納品物に含まれますか」と聞いてください。含まれないなら、そのぶんの引き継ぎをどう受けるかを別途決める必要があります。

上記3つの場面は、当社が社内で運用している工程・通過条件の定義と、実案件の実務にもとづいています。決済・配送の設定漏れやアプリの入れすぎといった、より個別のつまずきについても現場では頻出しますが、この記事では発注側が事前に手を打てる範囲に絞りました。

構築後の運用

Shopifyストアは公開してからのほうが長く、費用も時間もそちらに積み上がります。当社が「作って終わりにしない」という言い方をしているのは、構築の設計が運用の形を決めてしまうからです。

公開後にかかるものを整理すると、次のようになります。

項目 誰に払うか 考え方
プラン料金・決済手数料 Shopify 売上に連動して効いてきます。月商が上がったらプランの見直しを検討します
アプリの月額 各アプリの提供元 使っていないアプリが残っていないか、年に一度は棚卸しします
保守サポート 開発パートナー 不具合対応と操作の相談。範囲と対応時間を契約時に確認します
改善のための開発 開発パートナー 公開後に出てくる要望への対応。都度の見積になります

当社の保守サポート(月額)に含まれるのは、操作のやり方をご案内するところまでです。管理画面の操作そのものを当社が代行する場合は、月額とは別のお見積りになります。「ボタンを押すだけ」の作業でも同じ線を引いています。線を曖昧にすると、ご加入いただいた後に「それは月額の範囲外です」と言い直すことになるからです。

なお、更新のご依頼が定常的に見込まれる場合は、あらかじめ月額に一定の作業時間ぶんを組み込んでおく形もとれます。その時間ぶんの稼働を先に確保しておく、という位置づけです。組み込んだ場合も、個々の作業はご相談→お見積り→ご合意→着手という流れ自体は変わりません。

また、公開後に必要なときだけ都度お願いする、という形は承っていません。Shopifyでは、ご相談の多くが開発ではなく既存機能の組み合わせや運用の工夫で解決でき、その見極めと案内自体がサポートの中身だからです。公開後は月額の保守サポートへのご加入をお願いしています。

ポイント公開日・リリース日は金曜と祝日前を避けるのが原則です。不具合が出たときに即時対応できない時間帯に入ってしまうためです。公開希望日が金曜になっている場合、当社からは前倒しか週明けをご提案しています。

なお、保守のご相談は当社で構築したストアに限らず、他社で構築したストアや自社で立ち上げたストアからもお受けしています。

まとめ

Shopify構築は、要件を言葉にできたぶんだけ、早く・確実になります。自分でやるか頼むかの判断も、見積の比較も、期間と費用の見通しも、出発点はすべて同じです。迷ったら、「依頼の進め方」に挙げた要件整理の項目を埋めるところから始めてください。

セール時のアクセス集中への対応や、チェックアウト(購入手続き画面)の独自カスタマイズが必要な場合は、上位プランのShopify Plusが視野に入ります。どういう場合はまだPlusが不要なのかも含めて、Shopify Plusとは?Shopify Plusガイドで整理しています。B2B(卸取引)や越境ECの予定も、あとから足すと設計のやり直しになるため、最初に伝えてください。

当社はShopify専門の開発パートナーとして、これまで250件を超えるShopify支援に携わってきました。2026年7月1日付でShopifyパートナープログラムのPlusティアに認定されており、Shopify Partner of the Year 2025 Japan「B2B of the Year」を受賞しています。在籍する6名は全員がShopifyを専門としており、支援中のお客様の継続率は95%です。実際にどんな案件を手がけてきたかは、公開事例の一覧からご覧いただけます。

構築のご相談はお問い合わせから承っています。ご相談・お見積りは無料です。要件が固まっていない段階でも構いません。「まだ依頼しなくていいと思います」とお伝えすることもあります。支援の全体像をまず知りたい方は、Shopify支援事例集などの資料もご利用ください。

よくあるご質問

Q. Shopifyの構築費用はいくらかかりますか?
費用は「Shopifyに払うプラン料金・決済手数料」「開発パートナーに払う構築費」「アプリ・テーマの費用」の3つに分かれます。Shopifyのプラン料金は公式の日本向け価格で月額3,650円(ベーシック・年払い)からです。構築費は要件で大きく動き、とくにデータ移行の範囲と外部システム連携の有無で段階的に変わります。要件定義やデータ移行が含まれるかどうかで見積の中身が変わるため、金額だけの比較は避けてください。
Q. Shopifyの構築期間はどのくらいですか?
当社の実務では、既存サイトのリニューアルが2ヶ月前後、EC新規構築(複雑な外部連携がない場合)が2〜3ヶ月、他カートからのECリプレイスが着手から4〜6ヶ月です。基幹システムとの双方向連携を含む大規模なリプレイスでは、要件定義を含めて1年規模になる案件もあります。期間を短縮する効き目がいちばん大きいのは、発注側で要件を先に言語化しておくことです。
Q. Shopifyは自分で構築できますか?
できます。単店舗・標準機能の範囲・商品点数が数十点まで・既存データの引き継ぎがない、という条件がそろっていれば、社内の担当者だけで公開まで到達できます。ただし、基幹システムや物流倉庫との連携、既存ECからの顧客・注文データの移行、独自の購入フローが必要になった時点で、その部分は実装や設計の知識が要る領域になります。途中からの引き継ぎや一部分だけの依頼を受けられるかどうかは依頼先によって異なるため、相談時にストアの現状とどこで突き当たったかを伝えて、受けられる範囲から確認してください。
Q. 制作会社とフリーランスのどちらに依頼すべきですか?
要件が固まっていてデザインの作り込みが主目的なら、フリーランスへの依頼で費用を抑えられます。一方、外部システムとの連携や既存カートからの移行がある場合、公開後も継続して手を入れる場合は、体制のある会社への依頼が向いています。判断のポイントは金額よりも「公開後の保守を誰がどう続けるか」です。フリーランスに依頼する場合は、連絡が取れなくなったときの引き継ぎ先をあらかじめ決めておいてください。
Q. 構築中もShopifyのプラン料金はかかりますか?
依頼先がShopifyパートナーとして運営している場合は、パートナーが自身の組織の下で開設したストアで作業を進め、公開時に事業者側へ所有権を移す形がとれます(Shopify公式ヘルプではこの形のストアを「クライアントが移行されたストア」と表記し、料金は移行後にクライアントが負担すると案内されています)。この形なら、構築期間中に事業者側でプラン料金を払い続ける必要は基本的にありません。ただし、すべての依頼先がこの形をとるわけではなく、事業者側で開設したストアで構築を進める場合は、期間中のプラン料金は事業者側の負担になります。誰の名義でストアを開設し、期間中の料金を誰が負担するのかを、契約前に確認してください。
Q. 既存のECサイトからShopifyへ移行する場合、何を先に確認すべきですか?
現行サイトの「カート/システム名」「決済代行会社名」、定期購入の販売がある場合は「定期購入を動かしている仕組みの名前(外部サービスやプラグインの名前)」の3点です。とくに定期購入を運用している場合、保存済みのカード情報を引き継げるかどうかは決済代行会社によって決まります。Shopifyには決済方法を移行する公式の有償サービスがありますが、移行元の決済サービスがStripe・Braintree・PayPal Express・Authorize.netの場合に限られ、カード番号そのものの移行にはShopify PlusまたはEnterpriseが必要とされています。対象外の場合は購入者へのカード再登録の案内が前提になり、公開スケジュールそのものに影響します。
Contact

Shopify構築・リニューアルをご検討中の方へ

要件整理・概算お見積りまでお手伝いします。お気軽にお問い合わせください。